山田さん(仮名)は、厳しい不況の中を一生懸命に頑張ってきたのです。でも、ついにその限界を超えてしまいました....
私は、長い間、飲食店を営んできました。 私の店のインテリアが評判となり、一時期は売り上げも好調で、銀行からも融資を受けて支店を出すほどだったのです。ところが、近くに同じような大手のチェーン店ができたため、徐々に店の売り上げが落ちてしまいました。
銀行からは追加して融資を受けることができなくなってしまったので、私は、運転資金を消費者金融から借りて何とか営業を続けていました。新作料理を考えたりすれば、きっとお客さんが来てくれると信じていたのです。
でも、なかなかいいアイデアが浮かばなくて、考えていたように業績が回復せず「借りては返す」の繰り返しで、いつの間にか気がつけば、妻と共に金策に走り回る毎日になっていました。
そのうち、生活費を返済に充てるだけでは足りずに、子供達の学校の給食費すら支払えなくなってしまいました。私と妻はイライラして、子供達の前でもけんかばかりするようになり、ついに妻は、子供達を連れて実家に帰ってしまったのです。
私は、もはやこれまでと思い、店をやめてすべてを整理し、心機一転、サラリーマンとして働き始めました。でも銀行や消費者金融からの借金が無くなるわけではなく、そうかといって、今の給料と同じくらいの月々の返済額では、とても支払うことはできません。
山田さんは、自己破産で救われた!
山田さんの借入先の中では、銀行が最も借入額が大きく、残りは消費者金融が数社でした。銀行の金利は「利息制限法」以内なので、引直し計算をしても元金に変動はありません。また、消費者金融からの借入期間は1〜3年程度と短く、こういう場合は、引直し計算を行っても元金が大幅に減らないのが通常です。
山田さんは、今は毎月の給料で何とか生活はできますが、借金を返済するだけの余裕はまったくありません。そこで司法書士に相談して、破産手続によって債務を整理することにし、地方裁判所に破産申立を行いました。
破産申立にかかる費用を用意することができなかった山田さんは、日本司法支援センター(愛称「法テラス」)が運営する「民事法律扶助制度」を利用して立て替えてもらい、毎月分割で支払うことにしました。
数ヶ月後、裁判所の免責許可決定が確定し、山田さんの債務は免除(免責)されて、毎日借金で苦しむ生活からやっと解放されました。今、山田さんは給料も安定しており「法テラス」へ毎月の支払をしているだけですから、少しずつ生活が楽になってきています。 別居中のご家族とも落ち着いて話ができるようになってきましたので、山田さんがご家族と再び一緒に暮らせる日も、もう間近です。