1.「中間省略登記」とは、不動産の所有権が「甲→乙→丙」と移転したにもかかわらず、甲から直接丙に所有権が移転したような登記を云います。  

2.改正不動産登記法が施行された平成17年3月以前も、権利変動の過程を登記簿上、正確に反映しない「中間省略登記」は認められませんでしたが、判例により、中間者を含む三者の合意があれば有効とされ(大判T9.7.23)、「中間省略登記」がなされた場合は、丙は甲に対して直接自己に所有権移転登記を請求する権利を有すると判示されました。(最判S40.9.21)
以上より不動産登記法改正前は、実務に於いて事実上、「中間省略登記」がなされていました。  

3.しかし平成17年3月施行の改正不動産登記法により、登記申請の際に「登記原因証明情報」の提供が義務付 けられたことにより「甲→乙→丙」と所有権が移転した場合に「甲→丙」と甲から丙へ直接所有権移転登記を行う、所謂「中間省略登記」は事実上できなくなりました。  

4.以上の経緯を踏まえ、「中間省略登記」に関する不動産取引の運用を改善するため、国土交通省は平成19年7月10日に宅建業法規則を改正、同日施行しました。つまり中間の宅建業者が不動産の所有権をまったく取得せず、エンドユーザーである買主に売却する方法を認めることで「中間省略登記」を事実上、再びできるようにしたのです。  

甲(所有者)→乙(転売を行う宅建業者)→丙(エンドユーザーである買主)  

上記のような売買取引に於いても、乙に登記費用などの取引費用が発生する等、円滑な不動産取引に支障をきたす事から、不動産市場の活性化のため政府の規制改革により、前述の取引方法で問題の解決を図ったものと考えられます。  

その結果、次のような形で所有権が「甲→丙」に移転する時に限り事実上、「中間省略登記」が可能になりました。(登記研究710)  

甲→乙「地位の譲渡」または「第三者のためにする契約」→丙  

これについては、下記に国土交通省の発表を参考に掲げておきますので御一読下さい。    

宅地建物取引業法施行規則の一部を改正する省令案について
1.改正の背景
平成16年の不動産登記法(平成16年法律第123号)の改正により「甲(売主)→乙(転売者)→丙(買主)」という取引において「甲→丙」と直接移転登記を申請する所謂「中間省略登記」が行われることはなくなりましたが、昨年、規制改革・民間開放推進会議において、不動産登記法改正前と実質的に同様の不動産登記の形態を実現し、現場の取引費用の低減ニーズに応えるとともに、不動産の流動化、土地の有効利用を促進する観点から検討が進められ「規制改革・民間開放の推進に関する第3次答申」(平成18年12月25日)に於いて、甲乙丙の三者が売買等に関与する場合であっても「第三者のためにする契約」又は「買主の地位の譲渡」により、実体上、所有権が「甲→丙」と直接移転し、中間者乙を経由しない時には「甲→丙」と直接移転登記をすることが当然に可能である旨が、不動産登記法を所轄する法務省との間で確認され、その旨が関係機関に周知されたところです。しかしながら、甲乙間の契約を「第三者のためにする契約」として締結し(所有権移転する旨の特約を付される)、乙丙間を他人物の売買契約として締結する場合に於いて、乙が宅地建物取引業者で丙が一般消費者である時は、乙丙間の契約は宅地建物取引業法第33条の2(自己の所有に属しない宅地又は建物の売買契約締結の制限)に抵触することから、本年の規制改革会議に於いて、さらに検討が進められ、今般「規制改革推進のための第1次答申」(平成19年5月30日)に於いて「乙が他人物の所有権の移転を実質的に支配していることが客観的に明らかである場合等、一定の類型に該当する場合には、この規定の適用が除外されることが明確となるよう、国土交通省令等の改正を含む適切な措置を講ずる必要がある。」とされたところです。
この答申を踏まえ、今般、宅地建物取引業法施行規則(昭和32年建設省令第12号)について以下の改正を行うことを検討しています。
2.改正の内容 宅地建物取引業法第33条の2の規定(自己の所有に属しない宅地又は建物の売買契約締結の制限)の適用が除外される場合として、宅地建物取引業法施行規則第15条の6に下記の内容を追加することとします。 宅地又は建物について、宅地建物取引業者が買主となる売買契約等であって当該宅地又は建物の所有権を当該宅地建物取引業者が指定する自己又は建物の所有者を当該宅地建物取引業者が指定する自己又は第三者に移転することを約するものを締結しているとき
3.今後のスケジュール(予定)
○公布・施行平成19年7月上旬
出典 http://tykn.akibare.ne.jp/_p/acre/24587/documents/01__1_.pdf    

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